2017-07-25 09:10 | カテゴリ:ブログ
皆様、おはようございます。管理者Oです。

昨日は「コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON」の第2話をご覧いただけましたでしょうか?
放送前のブログでも述べましたが、実際の医療現場での後進指導は非常に難しい側面があり、指導医の多くが頭を悩ませる問題です。
しかしそこはさすが藍沢先生でしたね☆個人的にはどんなに厳しい指導でも、そこに後輩に対する思いやりが伴っていればきっとその後輩は分かってくれるのだと信じていますし、藍沢先生はそれを上手く体現してくれていたように思います。さて、管理者のつぶやきはこれくらいにして…皆様お待ちかねの医療シーン解説です↓

今回はフェロー達がいろんな手技を指導されました。通常は卒後2年目までの臨床研修で経験する処置ばかりなのですが、研修する病院によってはそれほど多くの経験をできずに2年間を過ごすことも稀ではありません。灰谷も横峯もそんな状態です。私が研修医だった頃は(もう30年も前です)、白石みたいに丁寧に教えてくれる先輩医師はいませんでした。彼らは幸せです(まぁ、藍沢の教え方も今の時代、どうかとは思いますが、アレも彼なりの愛情ある?教育法でしょうか…)。
横峯が救急車の中で搬送順位を決める直前、藍沢は腕組みをしながら少しイライラした感じで指を動かしていました。どこで自分が介入を我慢すべきか、そのタイミングをみながらギリギリまで横峯に判断をさせようとする藍沢の心情がよく出ているシーンでした。教育と診療の間で指導医も試されているのです。
白石が灰谷に中心静脈穿刺を教えます。今では患者さんの安全を考えて超音波で血管を確認しながら穿刺(針を刺すことです)をします。でも白石が言うように救急現場ではそのような手順を踏んでいる時間はありませんから、昔ながらに体表面の目印を目標に針を刺すことになります。その分だけ患者さんに対してはリスクを伴います。横峯はシミュレーター(人形)で胸腔ドレナージの練習をします。でも、やっぱり実際の患者さんでやってみないとわからないことも沢山あるのです。藍沢はそれを教えたかったのでしょう。患者さんの安全は絶対に必要ですが、「医学・医療を学ぶ」ということはそれだけでは成り立たないことを、皆さんには是非ともわかって欲しいと思います。

第2話の見せ場は藍沢の心タンポナーデを解除するシーンです。心タンポナーデとは、心臓が破れると血液が出るのですが、それが心臓を覆っている心膜との間に溜まって心臓の動きが制限された状態のことを言います。放っておけば心停止してしまいます。藍沢は、まず心嚢内に溜まった血液をドレナージするために心嚢穿刺を選択しましたが、血液は吸引できませんでした。急性の出血の場合には血液が凝固して(固まって)しまうので心嚢穿刺が上手くいかないことはしばしば経験されます。当然、藍沢もそれを知っているはずですが、ここはセオリー通りに一度は心嚢穿刺を試したということでしょう。ここから先が彼の「デキる」ところで、彼はすぐに開胸して直接心膜切開を行って心嚢内の血液を除去することを決断します。心膜開窓という方法もあるのですが、患者にとっては低侵襲ですが手間がかかります。心拍が落ちてきている状況では開胸する方がずっと早くて確実です。案の定、心嚢内は血腫が充満していました。藍沢がこれを切開すると血液が一気にあふれ出したのです。
血腫を除去した藍沢はこのあともう一つの「技」を繰り出します。心臓(右心室)の損傷部分を見つけると自分の指でその部分を抑えて出血を止めます。でも、このままの状態で翔北病院までは運べません。かと言って、損傷部分を縫合する手術はできません。そこで彼は「フォーリ-カテーテル(Foley catheter)」を使いました。
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このカテーテルは尿道に挿入して尿量を測定する時に使用するもので、先端にバルーン(風船)が付いています。心臓の損傷部からこれを挿入し、心臓の中でバルーンを膨らませてチョット引っ張り上げてやると、損傷部を内側から塞ぐことができるのです。まさに応急処置です。オシッコを溜めるのに使う道具を心損傷に利用するなんて何だかヘンな感じですが、何でも応用する柔軟な発想力は救急医には大切です。もちろん北総救命のヘリバッグにも入っています。

以上、第2話における医療シーンの解説でした。限られた時間の中、限られた医療機材を用いて最大限の医療を提供しなければならない病院前救急医療の困難さや醍醐味を感じていただけましたでしょうか?
そしてドラマも順調に盛り上がりを見せてきていますね(当然?笑)☆
今後ともドラマ共々、当ブログにつきましても宜しくお願い致します。
2017-07-24 16:19 | カテゴリ:ブログ
連投で失礼致します。

さて、本日21時より『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第2話(15分拡大版)がいよいよ放映されますね。
テーマはずばり…『導く者』

どの社会でも後進指導は重要な課題となっていると思いますが、医療界においても大変難しい課題の一つです。
提供する医療の安全性と将来を担う若手医師への指導のジレンマに常に悩まされています。指導者の立場となったスタッフドクターがフェローをどのように『導いて』いくのか。是非ともリアルタイムでご覧下さい。
放送終了後にはもちろん医療シーンの解説をアップ致しますので併せて楽しみにしていてくださいね☆

もう一つお知らせです。
以前のブログで当科松本教授のINTERVIEWがコード・ブルーの公式HP上に掲載されましたが、第2弾として当科太田黒医師と重山看護師の記事がSPECIAL INTERVIEW #2で掲載されました。コード・ブルーのドラマに憧れて、実際にフライトドクター・フライトナースの道へ進んだ二人の偽らざる思いを是非ともご覧下さい。
http://www.fujitv.co.jp/codeblue/interview/index.html
2017-07-24 15:51 | カテゴリ:ブログ
こんにちは。管理者Oです。重要なお知らせです。

「コード・ブルー 3rd season」 の医療シーン解説について多くの反響を頂きまして、誠に有難うございます。
公式HP上でも当ブログを紹介(バナーあり)して頂いたおかげで、たくさんの叱咤激励のコメントも頂けるようになり、ブログ管理者として大変嬉しく思っております。
なかにはこちらもはっとさせられるような鋭いご指摘もあり、本来でありましたら個別のコメントに対してお答えすべきかと存じますが、当方の回答でドラマ製作者側の意図を反映させられずに「コード・ブルー」の魅力であるエンターテインメント性を損ねてしまう可能性もありますため、今後は医療シーンを含めてドラマ内容に関する個別のご質問には返信致しかねますので、ご了承下さい。申し訳ありません。
ドクターヘリや救急医療の実情については後日改めて少しずつこのブログ上でご紹介していきますので、ご質問への参考回答としてご参照下さい。

もちろん、叱咤激励のコメントは医療監修の励みにもなりますので、引き続き宜しくお願い致します。
2017-07-18 09:33 | カテゴリ:ブログ
皆様、こんにちは。管理者Oです。
昨日は待望の『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第1話が放送されましたね。
一人のコード・ブルーファンとして、笑いあり、涙ありで初回から非常に楽しませてもらいました。

そして、予想を上回るブログやFBの反響があり、多くの叱咤激励のコメントもいただいておりますことに管理者として北総救命を代表し御礼申し上げます。本来でしたらお一人ずつ御礼すべきところを、このような形式でのご挨拶となり申し訳ありません。
大変注目度の高いドラマであり、視聴される方によって感じ取られることは千差万別とは思いますが、あくまでもリアリティを追求した『医療系エンターテイメント』として、最終話までぜひとも温かい目で見守って頂けますと幸いです。

さて、早速第1話の医療シーン裏話をお届けしたいと思います↓

ついに始まりましたね、「コード・ブルー 3rd season」。第1話、楽しんでいただけたでしょうか?藍沢が現場に出て行くシーン、「もういい、わかった。現場に向かう」、カッコ良かったですね。緋山の「来るならもっと早くきなさいよ」ってセリフも彼らの信頼関係がよくわかる場面で、私が好きなシーンです。

さて、第1話目のメインは山車に挟まれた少年(悠斗君)の治療です。現場での緊急穿頭(hematoma irrigation with trephination therapy, HITTと言います)は過去2回のシリーズでも出てきてます。特に、2nd seasonのスキー板に串刺しになった場面を思い出す人も多いでしょう。一番上の青年にHITTをしてましたね。脳外科が専門の藍沢に現場で治療させるとなるとHITTは見せ場の一つです。実際に救急現場で行うことは滅多にありませんが、患者がトラップされていてすぐに病院に搬送できなくて、頭蓋内出血が急速に増えている状況であればこの方法は窮余の策としてあり得るでしょう。悠斗君はHITTで一旦頭蓋内の減圧をして、翔北病院搬送後に脳外科で手術(おそらく藍沢が執刀したんでしょうね…)をしてICUにいるという設定でした。
このシーンでもう一つ注目して欲しいのは、白石が挟まれた悠斗君に気管挿管をする場面です。立位の状態の患者に気管挿管をするのは、実は容易ではありません。対面して喉頭鏡を反対に持って喉頭展開する方法がありますが、あの場面ではそんなスペースがありません。白石は咄嗟に家屋に突っ込んできた山車の上に乗って、腹這いになりながら子供の頭の上から気管挿管をします(少し頸が過伸展気味でした)。実際にこんな場面に遭遇したことはありませんが、撮影のずっと前に作ったミニチュアセットを見てこの方法を思いつきました。
写真
現場の状況を冷静に把握して、臨機応変に医療を提供する「場」を確保することも現場に出動する医師には求められるのです。白石は見事にそれをやったわけですね。立派な救急医に育ってくれたと思います。
お話の前半、藍沢が止血を手伝った水上バイクに衝突した患者さんの治療シーンがありました。患者さんは出血性ショックで心停止が切迫していたので、白石が開胸を決断します。次のシーンでは、腹部からの出血を必死で止めようとする白石と横峯に移ってしまいましたが、実はこの直前、白石は「開胸下大動脈遮断」というのを行って心臓の停止を回避するとともに、腹部に行く血液の流れを止めることで出血を減らそうとしていたんですね。この「開胸下大動脈遮断」は、われわれ北総救命の「代名詞」とも言える止血戦術です。過去2回のシリーズでも頻繁に出てきましたが、これから沢山出てくると思いますので覚えておいて下さいね。

では、第2話もお楽しみに。
2017-07-16 21:03 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。
いよいよ明日21時より「コード・ブルー 3rd season」の放映が開始されますね。

さて、先日のブログでもお伝えしました通り、北総救命は前作までと同様に全面バックアップで医療監修を行っております。
そこで、新たな試みとして当科松本教授と原医師による医療シーンの裏話を各回毎にupしていきます!!

今までのテレビドラマの常識を塗り替えるような試みで非常に斬新な内容になると自負しております。
さて、本日は放映前夜として、早速第一段をお届けしたいと思います。これでコード・ブルーが更に面白くなること請負いです☆
放送内容と共に、毎週楽しみに、そして宜しければたくさんの方へこのブログやFBのことをお知らせ頂けますと幸いです。

それでは第一段です↓

第1回
7月17日(月)から、いよいよフジテレビドラマ「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」の3rd seasonが始まります。「コード・ブルー」と言えば、今では全国に配備されたドクターヘリの普及に大きな貢献をした人気ドラマで、このドラマをきっかけに、「ドクターヘリって何?」という疑問の答えを得た人も多かったと思います。また、医師や看護師など、医療の仕事を志した人も沢山いたことでしょう。そんなドラマが7年ぶりに帰ってきます!
北総救命は、10年前の企画段階からこのドラマにかかわってきました。「この企画は、ドクターヘリや救命救急医療を多くの人に知ってもらえる絶好のチャンスだ!」と考え、ストーリー中の医療シーンの設定から役者さんの演技指導、画面に映るさまざまな背景に至るまで、医療部分には徹底的にリアリティーにこだわって関与しました。その結果、どの医療ドラマにも劣ることはない、いや、どこにも真似のできないクオリティーの高い医療ドラマになったと自負しています。今回の3rd seasonでも、役者さんはもとより、スタッフ陣も前2作とほぼ同じメンバーが集まりましたが、当然のように、医療監修も再び北総救命が担当しています。

「私、失敗しませんから」と言いながら、どんなにややこしい手術でもやり遂げてしまう、あんなスーパードクターはどこにもいませんよねぇ。「その手術をする根拠は何?」、「そんな手つきで手術はやらんでしょう…」、「どうして最初から最後まで術衣や手袋に血が付いてないの?」などと、ストーリーそっちのけでツッコミを入れたくなります。こういうリアリティーの無さが、われわれ医療を生業とする者に医療ドラマを“陳腐なもの”に感じさせるのです。医療ドラマは「現実とフィクションの融合」で成立します。プロデューサーは視聴者が感動したり、悲しんだりするストーリーの創造を求めます。医師は現実世界で可能性の低い事象はストーリーからは排除したいと考えます。スタジオやロケ現場では、「こう見せたい」という監督の演出と「現実はこうだ」という医師の目線がぶつかり合います。医療ドラマの制作では、このような「ドラマの作り手」と「現実の医療人」との間で激しいやりとりが繰り広げられ、互いが納得できる“融合点”を見つける作業が続くのです。その結果、テレビドラマというエンタテインメントでありながら、医療の世界をより現実に近い形で描いてもらうことができるのです。質の高いドラマは人の心を打ちます。そんな作品を通して世の中が動きます。北総救命は、「コード・ブルー」前2作の医療監修に係わることによってその質を高くできることを経験してきました。

 難しい話をしてしまいましたね…。さて、北総救命では「コード・ブルー 3rd season」の医療監修をするにあたり、どんな背景を考慮しながらドラマを作り上げてきたか、そこにはどんな医学的根拠が潜んでいるのかを記録にとどめたいと思い、ドラマに出てくるさまざまな医療シーンについての解説をすることにしました。このブログを通じて医療監修の苦労を知ってもらいたいとも思います。ドラマを観て疑問に思われる医療関係者や学生さん達も多くいることでしょう。その疑問を解き明かすヒントに使ってもらってもOKです。まぁ、ドラマを楽しむための「手引き」みたいに読んでいただければそれで十分です。
では、最終回まで?(多分、がんばれると思いますが…)お付き合い下さい。

第一段、楽しんで頂けましたか?
さて、いよいよ明日21時よりいよいよ放映ですね。皆さん、是非ともリアルタイムでご覧ください。
2017-07-10 23:51 | カテゴリ:ブログ
皆様、突然ですが7月17日(月)は何の日だかご存知ですか?

そうです。コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASONがいよいよ当日午後9時より初回30分拡大版で放送開始となります!!待ちに待ったこの日がついにやってくるということで、期待を膨らませている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、前作に引き続き北総救命は全面バックアップで医療監修を務めております。

そのことを示す通り、当科松本教授のコメントが、なんとコード・ブルー公式HPのINTERVIEW#5として取り上げられております☆
これまでの作品の医療シーンにまつわる裏話や、現在のドクターヘリ事業が抱える思わぬ問題点、そして今作品にかける意気込みなど盛り沢山の内容となっております。

お時間ありましたら、ご覧頂けますと幸いです。
http://www.fujitv.co.jp/codeblue/interview/index.html