2017-08-28 22:37 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。最近もはや「O」と隠しても顔バレしてるとか、してないとか(笑)

さて、皆さん『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第7話はお楽しみ頂けましたでしょうか。
今回のテーマは「失敗の代償」でしたが、予告からの予想通り、衝撃的な展開のオンパレードで息つく暇もないような1時間でしたね。。
個人的にはドクターヘリ墜落について白石先生が言っていた『たった1回の失敗で世間は騒ぎ立て、10000回の成功には誰も目を向けてくれない』というセリフが印象的でした。確かに救急の現場で失敗は許されません。そのために医療スタッフは日々研鑽を積んでいます。それでもどうしても不慮の事象が起こってしまうのも残念ながら事実です。その中で必要なことは「組織・社会としての反省と改善」であって、「個に対するバッシング」ではありません。最近の社会風潮を嘆く、白石先生にとても共感してしまいました。

おっと、いつもながら呟きが過ぎましたね。。お待ちかねの医療シーン解説をどうぞ↓

第7話は懐かしの「救命病棟24時」からのスタートでした。「Non-responderだ。開胸する」、何のことだかよくわからなくても、進藤先生を観て医師・看護師になった人も沢山いることでしょう。「コード・ブルー」を観て医療の世界に入った人達も、是非、大声でカミングアウトして欲しいです。さて、横峯の不屈と言うかお気楽なキャラとは対照的に、今週も灰谷の苦悩は続きます(でも横峯、いいコト言ってましたよね…)。

第7話はこのドラマのもう一人?の主役であるドクターヘリが怪我を負ってしまいました。ドクターヘリで現場に向かうときには、患者の状態が無線を通して入ってきます。「ショック状態!」なんて情報を聴けば、医師・看護師のみならず、機長さん、整備士さんだって早く患者に接触したいと思うのは当然でしょう。何故なら、ドクターヘリのスタッフは早く治療を開始すれば救命の可能性がそれだけ高くなることを知っているからです。このことは北総救命のデータでも証明されています。それでも、ドクターヘリの安全な運航が優先されなければいけませんから、医療スタッフが機長に「急いでくれ」とリクエストすることは我慢しなければなりません。事故の原因が灰谷の言葉にあったかどうかはわかりませんが、ドクターヘリで現場に向かう医療者には、少なくとも機長の操縦に影響を与える可能性のある言動を控えることが求められているのです。今回は幸いにも深刻な事態には至りませんでした。しかし万が一、飛行中のヘリがこのような事態になった場合に搭乗者はどのような対応をすれば良いのか、北総救命のスタッフは毎日の出動待機前に安全管理の確認作業を行っています。
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写真は緊急着陸時の安全姿勢です。キンチョーして座っているのではありません。背中と手を伸ばして衝撃に備える姿勢です。白石、灰谷、雪村達は、瞬時にこのような姿勢をとっていたからこそ無事だったのだろうと思われます。

さて、白石は大島将さんのかすかな意識(これを「signs of life」と言います)にわずかな救命のチャンスを感じ取り、現場での「蘇生的開胸(resuscitative thoracotomy)」を決断しました。蘇生的開胸の目的は、①胸郭内臓器の損傷に対する止血(修復)、②大動脈遮断による出血の一時的な制御と脳血流・冠血流の維持、の2つに大別できます。①や②に加えて心マッサージが行われることもあります。第2話で藍沢が心損傷の心タンポナーデの解除と一時的止血のために行ったのが、この①の目的になります。第7話の場面では、白石の決断とほぼ同時に心停止に至ったために心マッサージのみが行われました。灰谷の懸命な心マッサージで大島さんの手が少しだけ動きます。私もその昔、開胸心マッサージ中に患者さんとほんの一瞬だけ、コンタクトが取れたことがあります。でも実際には、北総救命でさえも心停止してから蘇生的開胸を行って救命された例はありません。逆に、心停止前であれば心マッサージをしながらでも救命できた症例は何例もあります。心停止前に患者さんにアクセスできるかどうかが生死を分けることになるのです。つまり、ドクターヘリはそのチャンスを大きく増やす重要な医療ツールなのです。
大動脈損傷の患者さんは病院にまでたどり着ければ救命の可能性が高くなります。大島さんには大動脈の断裂がありました。これではどんなに急いでも救命することは不可能です。白石と藍沢の蘇生中止の判断は間違っていません。医師2名のところに、重症患者2名、死者1名であれば、何を優先すべきか誰にでもわかることです。しかし、灰谷は諦めきれませんでした。人命救助に向かった人が死んでしまうなんてことが許せなかったのでしょう。ましてや結婚相手の声が聞こえればなおさらです。救急現場の辛い状況が伝わってくるシーンでした。

実は、第7話はもっと語りたいことが沢山あるのですが、最後に恒例?の「医療シーンのこだわり」です。
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写真は、大島将・美央の二人が救った80歳代の老人のベッドサイドです。腸管脱出の術後なのですが、右は腹腔内ドレーンからの排液を、左は尿を溜めている状態です。放送でも一瞬だけ映りましたが、見る人が見れば、このリアルな作り込みに感嘆するに違いありません。自画自賛ですが、ホントに良くできています。

いかがでしたでしょうか?第7話は本当に切ないシーンの連続で、ある意味『コード・ブルー』らしかったですね。
そして次回、転落で救急搬送された灰谷先生の運命は?針刺し事故による緋山先生が感染の危機…??
またまた生き地獄を与えてくれる予告でしたね。では1週間、首を長くして待ちましょう!
それではおやすみなさい。。。
2017-08-28 20:08 | カテゴリ:ブログ
本日21時より『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第7話が放送されますね!
天野奏の手術の真相とは?ドクターヘリに何が??
是非ともリアルタイムでご覧下さい。

さて、そんな「コード・ブルー」の公式HPにドクターヘリパイロットの小泉慎一郎氏のSPECIAL INTERVIEWが掲載されました。北総救命も大変お世話になっているパイロットさんです。

他ではなかなか伺い知ることのできないドクターヘリパイロットについてのことや医療クルーとの関係、更には現在抱える問題点など盛りだくさんの内容となっております。

本日の放送と併せて、皆さんご覧下さい☆
http://www.fujitv.co.jp/codeblue/interview/index.html
2017-08-22 12:51 | カテゴリ:ブログ
こんにちは、管理者Oです。

昨日の医療シーン解説ブログもいつもの通り沢山の方にご覧頂いており、管理者として感謝申し上げます。
さて、本日は我が医局長が取材を受けております。

『コード・ブルー』での白石先生と同じ、いやそれ以上に頼りになる医局長です。北総救命は医局長がいるからこそ成り立っているという噂がまことしやかに流れているとか。。

そんな医局長が語る「フライトドクターの使命感」とは?是非ご覧下さい。

https://job.wakuba.jp/magazine/2017/08/21/interview/568/
2017-08-21 22:47 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

本日も過去最速を目指し、鋭意ブログ作成中です(笑)
さて、『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』第6話はお楽しみ頂けましたでしょうか?
今回は「コード・ブルー」の真骨頂である決断・治療が必要となるような非常に臨場感のある現場や脳死移植についてなど、見応え十分な内容でしたね☆
テーマはずばり【落胆の向こう側】でした。「落胆」の先に成長があるフェローと「結果が全て」のスタッフ。それぞれの苦悩や葛藤が垣間見え、個人的に自分のこれまでや現状を含めて共感できる部分の多い内容でした。

本日の進行は順調です!早速お待ちかねの医療シーン解説をお届け致します↓

「コード・ブルー 3rd season」も後半に入りました。第6話は医療シーンが多かったですね。ここまでのフェローの姿を見ていると、「お前ら、最低だぁ~」って言ってた黒田先生の気持ちが分かるような気もしましたが、少しずつ成長しているようです。

今回の医療シーン解説のテーマは「そこにあるものでやる」です。冷凍庫内の事故で何人もの負傷者が出てしまいました。ドクターヘリの現場ではいつもと同じ医療が展開できることなど期待してはいけません。器械も薬剤も満足にありません。人手は限られています。おまけに、診療する環境と言えば、暑かったり、寒かったり、暗かったり、狭かったり・・・、劣悪です。そんな中、病院にいるときと同じクオリティーで医療を提供しようと思えば、「あれが無い、これが無い」と嘆くより先に、その環境に適合するように知恵を絞らなければなりません。「そこにあるものでやる」です。灰谷と横峯は守口さんの鼠径部を局所麻酔代わりに氷で冷やしました(症例報告をよく読んでいる白石ならではの指示です。日頃の勉強の大切さを教えられます…)。藍沢が飯塚さんを治療していた現場では、脳室ドレナージに小児用の気管チューブを使いました。気道を吸引するチューブや胃管なんかも氷で冷やせば硬くなりますので(少し時間を要するかも知れませんが)、そんなのも脳室ドレナージに使えそうです。

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写真はこの現場のものですが、藍沢が飯塚さんの治療している間、モップの柄をうまく差し込んで点滴を吊しています。実は1st season、2nd seasonの現場や今回の第1話の現場でも、同じようにいろんな工夫をしながら点滴を吊しています(気づいていましたか?皆さん)。このように、その場にあるもので通常と同じ医療を行えることがフライトドクター/ナースの「裁量」なのです。
白石は冷凍庫内の大腿動脈クランプを灰谷の胸の携帯カメラを通して見ていました。これは「REMOTES(REal-time MOvie Transmission system for EMS using Smartphone)」という北総救命とNTT docomoが共同で開発した「現場モバイル映像伝送システム」です(詳しくはコチラ→https://www.docomo.biz/html/casestudy/detail/hokuso.html)。ついに秘密兵器が登場しましたね。このシステムによって現場の状況が救命救急センターでもリアルタイムに把握できるため、ヘリ到着前に治療準備ができるなど、診療に大きな影響を与えています。北総救命は診療を支える機器開発にも積極的に係わっているのです。
もう一つの医療シーンは臓器移植の部分です。緋山は淡々と脳死臓器移植の書類仕事をしていました。救急医は、臨床的な脳死状態の患者さんにはしばしば遭遇します。それ自体の診断や、その後の対応にはそれほど多くの労力を必要とはしません。日常の臨床診療の範疇です。ところが、この患者さんが臓器移植のドナー(臓器提供者)となった瞬間、救急医は書類仕事に忙殺されることになります。臓器移植を進めるためには2回の「法的脳死判定」を行わなければなりません。臓器移植の意思表示があってからすべての作業が終了するまでには、少なくとも3日間は拘束されます。少し極端な言い方をすれば、救急医にとってみれば臓器提供者が出るということは、その患者さんを救命できなかったという点で「敗北」を意味します。そんな状況の後に続いて課せられる「法的脳死判定」の膨大な作業というのは、実は大きな負担なのです。けれども、せめて移植される臓器で元気になる患者さんがいるということだけが、その負荷を打ち消すモチベーションになっているのかも知れません。この第6話が放送された時点で、これまでに466例の脳死臓器提供があり、2,034の移植数に対して1,878の臓器が生存しています(日本臓器移植ネットワークホームページより)。井上の言うように「誰かの一部になって生き続ける」のは きれいごと でしかありませんが、「一人の死で何人もの命が救われる」ことは確かに すごいこと なのです。

今週のスタッフさんの「医療シーンのこだわり」です。第6話の冒頭で白石が緋山に「着替えを持ってきた」と話しかけます。衣装を担当するスタッフさんは、「どんな着替えを持ってきたのか?」を気にしていました。どこまでも現実世界をコピーしようとドラマ作りを進めるスタッフの「執念」を見た気がします。


いかがでしたでしょうか?今回は過去最速でのアップとなりそうです☆
さて、第7話の予告は反則でしたね(笑)あんな予告流されたら来週が待ち遠しくて生き地獄ですよね。。
天野奏の手術の真相とは?ドクターヘリ墜落……?
それでは来週までお楽しみに~(笑)
2017-08-17 21:12 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

ここ最近は季節外れの雨模様が続き、ドクターヘリの出動ができない日が多く関係各所には大変ご迷惑をおかけしております。

さて、本日は大好評連載シリーズ『ドクターヘリのお仕事』の第4弾をお届けしたいと思います。
テーマは【ドクターヘリの要請】についてです。残念ながら、現在の日本においては市民の方からのドクターヘリ出動要請はできない仕組みとなっております。それでは一体どのようにドクターヘリは要請され、出動することに至るのか。是非ご覧下さい↓

どうも!広報班のK城です。
今回は「ドクターヘリの要請」についてです。
「ドクターヘリはどんな時に出動するのか」という疑問にお答えします。
大きく分けると、①覚知要請 ②救急隊現着後要請の2つのパターンがあります。

無題

①覚知要請
119番通報をすると、消防指令室に電話が繋がります。
その際に重症を想定する「キーワード」が入っていた場合、消防指令室から北総にドクターヘリ要請が入ります。指令室が「キーワード」を接触的に聞きに行くときもあります。
覚知要請では、救急車の出動と同時にドクターヘリも出動するため、早い段階で患者さんに接触することができますが、現場の状況、患者さんの容態等、情報が少ないまま現場に向かうことになります。
②現着後要請
119番通報の内容に「キーワード」が入っていなかった場合は、まず救急車が現場に出動します。患者さんを評価して、早く医師の診療が必要と判断された場合にドクターヘリ要請が入ります。

コード・ブルーでもドクターヘリの要請シーンがたくさん出てきますが、ホットラインの要請内容で、どちらの要請か想像しながら見て頂くのも面白いと思います。
覚知要請で曖昧な情報しかないまま現場に向かったり、現着後要請の重症患者に作戦を立てながら向かったりと、難しいミッションに対してどのように対応しているか、という目線で見てみるのもよいでしょう。

いかがでしたでしょうか?
ドクターヘリはどの地域でも限りのある非常に貴重な医療資源であるため、要請する消防本部や現場救急隊は常に頭を悩ませながらドクターヘリを要請を行っているのです。適切な事案に、適切なタイミングでドクターヘリが要請されるよう関係各所が定期的に集い、検討会が開かれ、未だ見ぬ事案に備えています。

全ては救命のために…
2017-08-15 13:26 | カテゴリ:ブログ
皆さんこんにちは、管理者Oです。

昨日は『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第5話、ならびに医療シーン解説をご覧頂きまして誠に有難うございます。ドラマも折り返しを迎え、ますます盛り上がってくると思いますので、まだドラマ及び当ブログをご覧になっていない方がおられましたら是非とも周知して頂けますと幸いです。

さて、本日は大好評?連載シリーズ「ドクターヘリのお仕事」の第3弾をお届け致します。
テーマはずばり、【出動準備】です。それではご覧下さい↓

どうも広報班のK城です。
前回はブリーフィングについて説明致しました。
ブリーフィングを終えたら、ドクターヘリの資器材準備、確認作業を行います。
今回は「ドクターヘリの出動準備」についてです。
①
まず、ドクターヘリへ資器材を持っていきます。
(ドクターヘリバック、外傷バック、小児バック、エコー等)
現場へ持っていけるものは限られていますので、必要最低限、現場で必要なものを厳選し、現在の形となっています。
コード・ブルーでも出演者の方々がバックを持って走っていく姿がみられますね。

ヘリへ資器材を搬入し、物品の確認、機材の作動確認を行います。
②
現場で直ぐに資器材を使用できるように、確認作業を行うこと、収納場所を覚えておくことは非常に重要です。

資器材の確認を終えたら、最後にベルト、ヘルメットの確認、無線の確認を行います。
③
これらの準備を終え、8時半には出動準備完了となります。

現在夏真っ盛りで非常に暑いですが、準備を終え、青空の中ヘリポートに立つと、やる気が溢れてきます。
④

今回は以上です。
前回のブリーフィング同様、きちんとした準備を前提にドクターヘリ運航の安全は担保されるものなので、出動準備も毎朝欠かさず行っております。やはり備えあれば患いなし!

では、次回もお楽しみに☆

2017-08-14 23:15 | カテゴリ:ブログ
皆さんこんばんは。管理者Oです。今回は過去最速でのブログアップを目指しました。い、いや、決して、は、早く寝たいとかではないですよ(汗)一刻も早く医療シーン解説をお届けしたかったということです!

さて『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』第5話はお楽しみ頂けましたでしょうか?
お楽しみという言葉が全く似合わないくらい、非常にシリアスな内容でしたね。
落ち込む冴島Nsに掛けてやれる言葉がないと悩む藤川Drへ藍沢Drが語った「お前は毎日悲しみの溢れるこの救命で、みんなに明るさをもたらしてる」「どんなときでもお前の家庭はきっと明るい」「辛い毎日を二人で乗り越えていくために結婚するんだ」と励ますシーンは、藍沢Drの藤川Drへの信頼、そしてそんな藤川Drを藍沢Drなりに励まそうとする思いやり溢れる名シーンだったと思います。

そんな今回のテーマは『寄り添う人』でした。
救急医を含め、医療従事者が患者さんに提供できることはあくまでも「治療」や「看護」などであり「治癒」ではありません。「治癒」するためには患者さん自身の病と闘う気持ちやそれを支える家族のサポートが必須なのです。実際の現場でも献身的なご家族のサポートにより医療者側がビックリするほどの回復を見せてくれる患者さんがおられます。私生活においても、医療現場においても『寄り添う人』の存在というのは偉大で、かけがえのないものなんだということを改めて気付かせてくれました。

おっと、かなり出だしは早く取り掛かったのに、時間をかけ過ぎました。。それでは第5話の医療シーン解説をどうぞ↓

ストーリーも少しずつ前に進みます。第5話は医療シーンが少なかったのですが、藍沢らしい結婚観を語りながら藤川とトマトを食べるシーン、白石と緋山がフェロー達をダシに冴島を励ますシーンなど、泣き所が多くって目が腫れてしまいました…。

今回の医療シーンのポイントは名取のアンダートリアージ(過小評価)でした。出動中に別の救急現場からドクターヘリ要請がかかるのは、実際にもよくあることです。患者がどんな状態なのかは消防からの情報で判断するしかありません。この場合、上級医はより重症だと思われる方に向かいます。ここで重症者の方に向かえるようになれば「一人前」ということです。名取はレスキュー隊員の倉田を近隣の二次病院に搬送をしました。私たちはこれを「Jターン」と呼んでいます(翔北に搬送すれば「Uターン」ですね)。このJターンで一番イヤなのが搬送先の病院から「実は重症でした」と連絡が入ることです。チラッと映った骨盤のX線写真はopen book typeの骨盤骨折でしたが、藤川が「これなら気づかないこともあるかな…」とチョット皮肉っぽく?言っていましたが、現場での骨盤骨折の診断は簡単ではありません。写真上のような診察をすれば分からないことはなかったでしょうけれど、おそらく名取は、倉田の上腕骨骨折による痛みにダマされて骨盤の痛みを軽くみてしまったのかも知れません。名取は倉田に「レスキューの現場に条件のいい時なんて無い。ドクターヘリの現場だって一緒だろ」と言われましたが、まったくその通りで、時間も検査機器も限られる現場では診療の精度にも限界があります。その精度を如何に高くするかがフライトドクターの勝負どころなのです。

無題


重症の骨盤骨折はなかなか手強い損傷です。治療法にはバラエティーがあって、その一つに「創外固定」があります。これは骨に複数のピンを差し込んでそのピン同士を繋げて骨折部位を固定する方法です(写真下)。エンディングのタイトルバックでも藤川がそのピンを刺入しようとドリルを持っているカッコいいカットがありますね。倉田にもまずこの創外固定が行われていました。この他にも、シーツラッピングと言ってシーツを巻いて簡易的に骨盤を固定する方法もあります。出血に対しては、血管造影をしながら損傷した動脈にコイルやゼラチンでできたスポンジを詰めて止血する「動脈塞栓術」や、骨盤の骨折部の周囲にガーゼを詰め込んで止血する「後腹膜パッキング」があります。このあたりについては2nd seasonの第1話でも白石が喋ってますね。橘は「その順番が問題だ」と当時のフェロー達に指導をするのですが、みなさん覚えてますか?順番には定まったルールはあるわけではなく、患者さんの状態と治療する側の経験から決められることになります。

今日は最後にスタッフさんの「医療シーンのこだわり」について書いておきます。第2話の最後で横峯が胸腔ドレーンのチェックをする場面、チェストドレーンバッグの水封部分から「ポコッ」っと一回だけ空気が出ます。第3話のダメージコントロール手術では腹腔内から大きな血腫が出てきます。どちらも見る人が見れば現実世界でも目にする事象ですが、こんな細かいディテールに力を注ぐ撮影現場の助監督、美術スタッフのプロフェッショナリズムに敬意を表したいと思います。

いかがでしたでしょうか?骨盤骨折の難しさや奥深さを知っていただけたのではないでしょうか。
そしてそんな骨盤骨折で歯がゆい思いをした名取Drが「患者さんに次はないの」と少し不器用な白石Drからの注意を受け、どのように救急医として成長していくのか、今後に注目したいですね。

そして次回はいよいよフェロー達が現場で………
来週も期待していて下さいね☆
2017-08-14 12:05 | カテゴリ:ブログ
皆さんこんにちは。管理者Oです。

『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の医療監修を当科全面バックアップで行っておりますのは以前のブログでもお伝えした通りですが、今回当科松本教授が医療監修についてのインタビューを受けております。実際の医療監修がどのように行われているのか、どういった部分にこだわりが見られるのか、かなり詳細な内容が語られておりますので、是非ご覧下さい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170809-00000342-oric-ent

宜しければ動画バージョンもどうぞ!
https://www.youtube.com/watch?v=wUkUF24HSLQ

さて、いよいよ本日21時より『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』第5話が15分拡大版で放送されます☆予告編で白石先生が名取先生に言っていた「患者さんに次はないの」というセリフ、非常に印象的でした。
失敗しない人間はいないように、失敗しない医師も残念ながらいません。医師は生涯で何千という数の患者さんを診療しますし、何事にも最初はありますので、もちろん失敗から学ぶという事も大切ではありますが、当の患者さんにとっては1/1なのです。
その事を指導医はどのように後輩へ指導し、若手医師がどのようにその問題を克服していくのか、実際の現場でも非常に難しい問題なのです。

そのような難しいテーマがどのようにドラマの中で描かれるのか、個人的に楽しみにしています。
お盆の真っ只中で皆さんご多忙とは思いますが、是非21時にはテレビの前でご家族お揃いでご覧いただけますと幸いです。
そして第5話の医療シーン解説も楽しみにしていてくださいね☆
2017-08-10 21:06 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

本日はもう一つの連載シリーズ、『ドクターヘリのお仕事』の第2弾をお届け致します。
第2弾は毎日朝に行われるドクターヘリのクルー達による【ブリーフィング】についてです。それではご覧下さい。

どうも広報班のK城です。
前回はフライトスーツについて説明致しました。
フライトスーツに着替え終えたら、ヘリスタッフは集合し、「ブリーフィング」を行います。
今回は「ブリーフィング」についてです。

ヘリスタッフは全員で6名です。
(北総救命では医師2名、看護師2名、ヘリ操縦士1名、整備士1名、CS1名)6名が集合し、ブリーフィングが始まります。
無題
ブリーフィングでは、挨拶、スタッフの確認、天候の確認及び飛行可能域の確認を行います。
雲の流れを確認し、ドクターヘリが飛行可能な場所を確認すること、搬送可能な病院を確認しておくことは非常に重要です。

無題2
そして、ドクターヘリに安全に乗るための注意点について、毎日全員で確認を行います。
ドクターヘリの乗り方、有事の際の対処方法等、毎日全員で確認し、安全な運航を前提として活動しています。

コード・ブルーでも、重複ミッション、多数傷病者事案等のヘリミッションとして対応が難しいケースがたくさん見られます。スムーズなヘリの運航には、医療スタッフとヘリ運航スタッフの連携が重要です。
ドラマではでてきませんが、きっと素晴らしいブリーフィング、デブリーフィングをしているんでしょうね。

以上、『ブリーフィング』についてお届け致しました。いかがでしたでしょうか?
ドラマやドキュメンタリー番組でもあまり知らされることのない「ブリーフィング」ですが、こういった事前準備を毎日怠らずに行うことでドクターヘリ運航の安全は担保されているのです。

それでは次回に続きます☆
2017-08-08 23:20 | カテゴリ:ブログ
日本医科大学千葉北総病院救命救急センターでは平成30年度から開始される予定の新専門医制度における救急科専門研修の基幹病院として専門研修医(専修医)の募集を行っております。

当科は重症外傷を中心とした3次救急患者を対象としてドクターヘリ・ドクターカーを用いた病院前救急診療から入院管理まで一貫して行う自己完結型の救命救急センターです。

また日本の救急医療分野を牽引してきた日本医科大学救急医学講座には多くの関連病院があり、連携施設も豊富ですので、個々人の要望に応じた柔軟な研修が可能です。
更に大学機関として教育活動や研究活動にも力を入れており実診療だけでは得ることのできない、救急医学の”奥深さ”を身に付けて貰えると自負しております。

とは言え、百聞は意見に如かずです!
是非一度、当科に見学へいらしてみて下さい。医局員一同、お待ちしております。

病院見学・専修医募集については当科HP(http://hokusohstc.com/contact/)をご覧頂き、医局長八木貴典宛にご連絡頂けますと幸いです。
2017-08-08 00:20 | カテゴリ:ブログ
皆さんこんばんは、管理者Oです。

ここ最近、毎週月曜日のこの時間にブログを更新することが恒例となってきました!あぁ、眠…いやいやコード・ブルーを視聴したばかりで感動冷めやらぬ今日この頃です(笑)。

さて、『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』第4話、ご覧いただけましたでしょうか?
今回のテーマは【笑顔の効能】でした。
医学は、当然のことながらきちんとした論理(病態生理と言います)を基盤とした"Science"です。従って、そのほとんどの事象について真理が定まっています。この部分は近い将来AIなどに取って代わられるかもしれませんね。
しかし、医学の難しさは人を対象にした"Art"や"Philosophy"の部分にあります。やはり人を本当の意味で癒すことができるのは『ヒト』でしか有り得ないのです。そういったことを冴島Nsは雪村Nsに、奏は藍沢Drに伝えたかったのでしょうね。

おっと、また呟きが過ぎてしまいました。お待ちかねの医療シーン解説をお届け致します↓

ストーリーも少しずつ前に進みます。藍沢はピアニストの奏の治療にどう向き合うのか?橘の息子優輔は移植を受けられるのか?いつもながら重いテーマを取り上げる「コード・ブルー」です。そんな中で、メリージェーン洋子(本名は大山恒夫さんです…)の登場はインパクト抜群です。実は北総救命、過去にモデルとなる女性?の症例を経験しているのです。その名も「ローズマリー××」…。

今週の医療シーン解説は頸に鉄串が刺さってしまった健太郎君のお話からです。「コード・ブルー」はよく物が刺さります。1st seasonの第5話で鉄筋が腹部に刺さった患者さんを覚えている人もいるかと思います。2nd seasonの第3話はスキー板の串刺し事故でした。ちなみに、この2つのエピソードのように刃物などと違って先端が比較的「鈍」な物が身体に刺さってできるケガのことを「杙創(よくそう)」と言います。さて、健太郎君は左の頸動脈を損傷して仮性動脈瘤というのを作ってしまいました。これは、動脈は破れているのですがそのすぐ外側の線維組織によってかろうじて「瘤(りゅう)」が作られて出血が抑えられている状態です(図参照:ちなみにこの図は白石が説明に使っていたものです)。
無題
放っておけばこの瘤が破れて、今度こそ大出血になってしまいます。そこで頸動脈の損傷部ごと切除して血管を繋ぎ直さなければなりません。この時に頸動脈を遮断する必要があるのですが、多くの患者さんでは左右の脳を繋ぐ血管があるので、左側の頸動脈を完全に遮断しても左脳の血流が無くなることはありません。ところが健太郎君にはその血管が未発達でした(矢印)。こういった血管の発達には個人差があるのです。そこで藍沢と新海は、左の橈骨動脈という、脈拍を測るときに触れる手首の動脈ですが、ここから左脳への血流を供給させる「ハイフローバイパス」という方法を用いて左脳の血流を確保してから、頸動脈を遮断したわけです。

今回は「笑顔」がお話のテーマでしたが、含蓄のある言葉も随所に出てきました。移植を待っていた暁人は必死の治療の甲斐無く亡くなってしまいます。同じく移植を待つ優輔や橘、三井の気持ちは計り知れません。藍沢が「移植医療は難しい」と語るのですが、患者さんやその家族は移植を待つ間に、病状自体が持ちこたえなければならないし、「人を死を待つ」ということにも耐えなければならないのです。日常の笑顔がそんな過酷な状況を乗り越えるエネルギーになるのかも知れません。冴島の「不安なのは患者や家族だけじゃない。医師やその他のスタッフも張り詰めてる。そんなときに、あなたの笑顔を見るとみんなが安心するようなナースになって欲しい」という言葉は、早く実力をつけたい雪村に響いたことでしょう。看護師を目指すみんなに聴いて欲しいセリフでした。新海は、「いつからだろうな。医者が患者に大丈夫と言ってやれなくなったのは」と言いました。患者さんは医療に対して「100%(治してくださいね)」を求めます。医師は医療に100%など無いことを知っていますから、患者さんとのトラブルを避けるあまり多くの「予防線」を張るようになりました。結果、「大丈夫だよ」というたった一言が言えなくなってしまっているのです。そんなときの医師の笑顔は、書類には表せない「信頼」を築いてくれるのでしょうね。医療シーン解説がすっかりストーリー解説になってしまいましたが、「コード・ブルー」はこんな医療者目線のドラマなのです。次回もお楽しみに!

いかがでしたでしょうか?
今回は個人的な感想として、医療従事者にとって身につまされるセリフの多い、メッセージ性の高い回だったように思います。患者さんに対して「笑顔を見せる」、「大丈夫だよと言ってあげる」、そんな一見とても簡単なことが自分自身を振り返っても出来ていないなと反省させられました。

次回はまた翔北に大事件が起こるようです!楽しみに待っていてくださいね☆
2017-08-06 15:08 | カテゴリ:ブログ
こんにちは、管理者Oです。

『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』第4話前日となりました。やはり前日になりますとワクワクしてしまいますね☆
さて、おかげさまで医療シーン解説は大変な反響を頂いており、ブログ管理者としまして嬉しく感じているのと同時に、責任感も痛感しているところです。沢山のご意見・ご質問を頂戴しておりますが、当方の都合で個別質問に対しましては返答致しかねますことを改めてご理解・ご了承下さい。

大きく一つだけ述べさせて頂きますと、『コード・ブルー』は救急医療のリアリティを追求したドラマです。医療シーン解説が始まる前に掲載したブログでもお伝えしましたが、監修側のリアリティ追求と製作者側の演出との絶妙な塩梅で成り立っているのです。その辺りをご理解賜り、そして少し難しい内容につきましては必要に応じて医療シーン解説を参考にしてもらいながら『コード・ブルー』のエンターテインメント性を楽しんでもらえますと幸いです。

さて、ドラマ内容からは一旦離れます。
『コード・ブルー』のおかげでドクターヘリへの関心が高まってきている機運に便乗し(笑)、今後、当ブログ内では医療シーン解説に加えて、ここ北総救命におけるドクターヘリ活動が実際にどのように行われているのかをご紹介していきたいと考えております。当科広報担当のK城医師が医療従事者以外の方でもご理解頂けるように分かりやすく解説してくれますので、医療シーン解説だけでなく、「ドクターヘリのお仕事」シリーズも楽しみにしていてくださいね!
それでは早速第1弾をお届けします。たくさんのシェアをお願い致します(笑)

ドクターヘリのお仕事①

どうも広報班K城です。
コード・ブルーも始まり、多くの方々に北総救命のブログを見て頂き、誠にありがとうございます。
コード・ブルーがより一層面白くなる様に、「ドクターヘリのお仕事」についてUPしていこうと思います。

まず第1段はドクターヘリフライトスーツについて。
ヘリスタッフは出勤すると、フライトスーツに着替えます。
画像①
北総救命のフライトスーツといえば北総カラーの「ブラック」が特徴です。
また、全てオーダーメイドの北総デザイン仕様となっています。

ブラックを基調とし、蛍光のグレーホワイトラインが入っています。
① 現場での活動を考慮し、関節部にはクッション素材が入っている。
② 2重ポケット構造になっており、収納性が非常に高い。
③ 汚染対策として、襟にはフードが収納されており、袖も長袖に調整可能。

画像①
画像②
画像③

A北総HEMSワッペン
B 名札
C「リモート」用スマートフォン ※「リモート」については改めて
D 薬剤ポーチ
E ヘリ活動域地図パウチ
F スポンサーシップワッペン
G 役職ワッペン

聴診器、スマートフォン等の携行品、ワッペン等を確認し合い、準備完了となります。
現場に出動する場合は、写真のようにマスク、手袋等のプリコーションを行って診察します。
コード・ブルーのフライトスーツも非常に格好良いですね。
あんな細身のフライトスーツを着こなせるようになりたいです。



2017-08-01 00:36 | カテゴリ:ブログ
皆さんこんばんは。管理者Oです。

『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』 第3話はご覧いただけましたでしょうか。
おかげさまで、ドラマも当ブログも大反響で、こんな夜中にもかかわらずブログを楽しみにしてくださっている方もいらっしゃると思い、眠い目を擦りながら、必死に書いております(笑)

さて、第3話のテーマは「命より大切なもの」でした。救急医にとっては非常に悩ましい、そしてずっとその答えを模索し続けているテーマです。救急医も一人の人間であり、その人の価値観や倫理観、哲学などは人によって千差万別ですが、作中の藍沢先生が手術後のご家族に「○○さんの体は生きようとしていました。」と説明していたところは、【命から逃げない】藍沢先生らしいセリフだなと感じました。決して自分の手で救ったなどとは説明しない、救急医としての信条が描かれていて、個人的にはとても好きなセリフです。

おっと、また個人的な話をしすぎてしまいました。それではお待ちかねの医療シーン解説です↓

高視聴率でスタートできた「コード・ブルー 3rd season」ですが、この医療シーン解説が一役買っているのであれば嬉しい限りです。第3話の医療シーンも盛りだくさんで、何からお話していいのか迷ってしまいます。

まずはじめは薬物中毒の患者さん(秋本)です。狭いヘリの中で秋本が嘔吐した後、乗員全員が身体の異常を訴えます。冴島はもっとも秋本に近いところにいたためか意識を失ってしまいます。白石が嘔吐物による機内の空気汚染を察知し真っ先に機長にそれを伝えたのは、もちろん飛行の安全を確保するためです。同時に換気のために窓を開けます。さすがは白石。適切な行動でした。現実にも狭いヘリのキャビン内で何かしらの薬物を服用した患者さんが嘔吐をすれば、このような事態は十分に起こりえます。一番怖いのは機長さんが体調を崩して操縦できなくなることです。なので、あらかじめ薬物中毒とわかっている患者さんであればヘリに乗せることはしません。秋本は睡眠薬なども一緒に飲んでいたのかも知れませんが、ごく一般的な意識障害だったので薬物の服用までは予想できなかったのだと思います。
原因となった薬物は、灰谷の言葉をヒントにシアン(青酸)化合物だと判明します。シアン化合物が口、皮膚、気道を経由して体内に入り、細胞の呼吸を傷害させることにより起こるのがシアン中毒です。症状は急激に発現し、特に脳は最も強く影響を受け、死亡率も極めて高いものです。今回はどうして誰も死に至ることはなかったのでしょうか?藍沢も説明をしていますが、秋本はシアン化合物をカプセルに入れて服用しました。その結果、カプセルが胃の中で溶けるにつれて少しずつシアンが体内に取り込まれたため治療を行う時間が稼げたのです。実際にこのような症例が報告されています(日救急医会誌 2013;24:871-6)。ヘリが翔北に着くと「除染」が始まりました。汚染された服を脱ぎ捨て、身体全体を洗って被害が拡がるのを防ぐのが除染です。除染の設備はドラマだから都合よく出てきたわけではありません。日本医科大学千葉北総病院でも、同じ設備が組み立てた状態で準備してあって、すぐに使用できるようにしてあるのです。

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第3話の手術シーンは「ダメージコントロール手術」でした。大量出血時には血液の凝固機能が低下し、どれだけ外科的に出血を止めようと試みても、どこからともなく出血が続いてしまう状態に陥ります。そこで出血部位にタオルやガーゼを詰め込んで圧迫し(パッキング)、一旦手術を中断します。その後、集中治療室で全身の状態を改善させてから手術を再開するのです。私たち北総救命がもっとも得意とする外傷治療戦略です。白石は灰谷に、「ダメージコントロールの一番のポイントは、臆病であること」と伝えます。臆病だからこそ、無理な手術の続行を中断できる、「勇気ある撤退」ができるのです。中断後、患者さんの状態に改善が無ければ手術の完結はできません。その意味で、「ダメージコントロールは、患者さんの生命力に問いかける行為」という藍沢の言葉は、われわれ外傷外科医にとっても面白い視点だと思いました。

最後にもう一つ、ポジティブ思考の料理人、緒方のお話をしておきます。彼は不幸にして「中心性頸髄損傷」という怪我を負ってしまいます。これは、足は動かせますが、手や腕を動かすのに障害があるタイプの頸髄損傷です。手足を動かす神経の束と言える脊髄は、中心部ほど身体の上の方を動かす神経が通っています。なので、脊髄の中心部が損傷するとこのようなタイプになるのです。他にもまだまだ伝えたいことがありますが、今日はこのあたりでオシマイです。

いかがでしたでしょうか。今回の医療シーンは、実際の医療の分野においても非常に稀なケースであったり、意外と知られていない治療概念であったりと医療従事者がご覧になっても不明な点が多かったのではないでしょうか。そうした意味では大変有意義な解説になっていると思います。お時間がある方はこのブログを読んだ後、もう一度ドラマをご覧になってはいかがでしょうか?

さて、第4話も何やら大変なことが起こる予感です。すでに1週間が待ち遠しいと思いますが、楽しみにしていてくださいね。