2017-09-18 23:25 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

ついに3か月もの長きに渡り続いておりました『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』がついに終了致しました。最終話はいかがでしたでしょうか?サブタイトルは「暗闇の先にあるもの」でした。翔北救命センターに降りかかった最大の局地災害をチーム全員の力で乗り越え、そして各人がまた新たに示される光を頼りにそれぞれの道を歩み始めましたね。

さて、今回の作中では藍沢Dr.が亡くなった患者の診療のことで後悔する横峯Dr.に「医者は所詮助かる患者しか助けられない。だから助けられる命を確実に救うんだ。」と諭しているシーンが印象的でした。1st seasonで黒田Dr.が藍沢Dr.にかけた「医者が(患者の命を)延ばせるのはほんのわずかかもしれない。だがそのわずかな時間が時に人の運命を変える。そのために医者は腕を磨くんだ。」というアドバイスを藍沢Dr.はちゃんと覚えていたんでしょうね。決して反省をしても意味がないということではなく、むしろその逆で、次に自分が診た際には助かる患者にするんだというメッセージだったのだと思います。
『コード・ブルー』のドラマでも描かれているように救急患者の中にはどんなに手を尽くしても救命できない患者さんがいらっしゃいます。そういった意味では人間の「運命」は決まっているのかもしれません。しかし、実際には患者さんが亡くなるその瞬間まで誰にもその「運命」は分からないのです。だからこそ救急医はその「運命の瞬間」まで文字通り懸命に診療を続け、そして結果が如何なるものであっても、次はもっと良い診療にできるよう努力をしていくのです。
北総救命のコンセプトである【Beyond the theory】には、そんな常に前へ前へと歩みを続けていくんだという理念が込められています。
おっと、最後くらい前置きは短くしようと思っていましたが、やはり書き過ぎてしまいました(笑)それではお待ちかね最終話の医療シーン解説です。今回は最終回スペシャルということで特大号でお届けします↓

「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」の3rd seasonもついに最終回を迎えました。医療シーン解説もこれが最後?かも知れません。1st season、2nd seasonの頃はSNSも普及していませんでしたし、北総救命もホームページは持っていませんでしたから、このような企画は考えも及びませんでした。今シリーズは、この解説を通してわれわれが伝えたかったことを少しでも沢山の人に理解してもらえたかなと思っています。

さて、最終回は①藍沢+雪村、②藍沢+冴島(+藤川)、③緋山+名取、④横峯+雪村、⑤灰谷+橘の医療シーンが折り重なるように描かれました。もの凄く早い展開でよく分からなかった人も多いと思います。それぞれがどんな展開だったのかを復習してみましょう。
① 藍沢と雪村は骨盤骨折でショック状態の患者を診ていました。地下の事故現場から白石のいる地下1階のコンコース、さらには地上にまで搬送するには、エレベーターもエスカレーターも止まっているためにまだ相当に時間がかかります。シーツラッピングで骨盤の安定化は図れますが、出血の制御を行うために藍沢はここで後腹膜のパッキングをすることを決断しました。この手技については第6回(第5話)の解説でも触れた通りです二度目の崩落でこの上に土砂が降りかかってきました。パッキングしたその上に土砂が降りかかっていました。この患者さんはこの後、創部の感染を合併する可能性が高いのですがパッキングによる止血の方が大切です。この例は稀としても、現場での医療には常に感染のリスクが付きまといます。でも、感染を恐れていては救命できない事例も多くあるのです。われわれの経験では想像しているほど感染を起こすことはありません。
② 藤川が翔君を助けるシーンは、彼の優しさがよく出ている場面でした。崩落の後、彼の下半身は瓦礫に挟まれてしまいました(この現場の医療設定には苦労をしましたが…)。まず、藤川の左大腿部が瓦礫で圧迫されています(写真矢印)。
無題
当然左の下肢は虚血になりますから、この瓦礫を持ち上げたときにクラッシュ症候群による(脈無し)心室頻拍が起こってしまいました(この前に藍沢と冴島はクラッシュ症候群の予防のために、輸液を増やし、炭酸水素ナトリウムも投与して、AEDのパッドも張っていましたね。皆さん分かりましたか?)。
幸いAEDで藤川の心拍は再開しましたが、今度は右足の問題が残ります。画面でもチラッと映っていましたが、藤川の右の下腿には排煙用の金属パイプが乗っていてそれを別の瓦礫が圧迫していました。瓦礫を除けば救出はできますが、今度は圧迫されていた右下腿の虚血によるクラッシュ症候群の出現を食い止めなければなりません。そこで藍沢は、まず藤川の右鼠径部にアクセスして右大腿の動静脈をネラトンで把持して血行遮断を行いました。これによって阻血部からの血流が心臓に還るのを回避できます。しかし、時間の経過とともに右足の阻血は進行します。阻血の許容時間があるのですが、結局、エアジャッキが届いて救出作業が再開された時には病院への搬送時間を残せなくなってしまいました。次の藍沢の判断は、右下肢の圧迫が解除されたと同時に、動脈は開放し、静脈の中枢側(心臓側)は遮断したまま末梢側(足側)を切開し、下肢から還ってくる血液を捨てる(瀉血と言います)という方法でした。藍沢は、出血性ショックをコントロールできなくなるギリギリのところまで瀉血することによって、右足に溜まっていた毒素(カリウムや乳酸など)が心臓に戻るのを回避したのです。
③ 緋山は救命不可能な妊婦、村岡ひとみさんから胎児だけでも救い出そうとします。このような判断をするのは妊娠週数や胎児心拍の状態で決定されます。ひとみさんは妊娠34週でしたので緋山は「イケる」と判断したのでしょう。ひとみさんの心停止後にご主人の村岡正朗さんを説得しながら、緋山は必死の心臓マッサージを続けました。これはできる限り胎児の低酸素血症を防ぐためです。その後、帝王切開で女の子が産まれました。これをPostmortem cesarean section(死亡後帝王切開)と言います。母体への心肺蘇生術の開始から5分以内の娩出が胎児の生存率を高めるとされていますが、心停止から45分後の胎児の救命例も報告されています。この時の帝王切開は極めて迅速に行う必要がありますから、緋山の技術もなかなかのモノだと言えます。
④ 第2話では胸腔ドレーンの挿入も覚束なかった横峯でしたが、今回は蘇生的開胸術を行いました。レスキュー隊員の佐藤さんは出血性ショックを伴う大量血胸でした。「開胸して出血点を探せ」という藍沢の指示は間違っていませんし、彼がその場にいたら迷わずそうしていたに違いありません(これまでにもそのようなシーンは多くありましたね)。一方で、暗い中での開胸はかえってリスクを高めるかも知れません。この時に横峯が取った判断も確かに合理性はあります(後の横峯の台詞からは、やりたくない理由を言っただけだったかも知れませんが…)。佐藤さんには上行大動脈瘤の存在が判明しましたから、そんな人の胸部外傷です、実のところ救命は困難だったでしょう。患者さんの既往歴が結果に影響を与えることは、“待ったなし”の救急医療ではよくあることなので、それ自体を医師が気に病む必要はありません。ただ、横峯は自分の判断を後悔する中で「一瞬の判断が生死を決することがある」、そんな救急医の現実を経験したのだと思います。
⑤ フライトドクターとしての自信を失いかけていた灰谷でしたが、見事に山田賢治さんを救命します。この患者さん、最初は両側の大腿骨骨折によるショックでしたから、橘も灰谷もその対応を優先しました。その後、出血が無いにもかかわらず進行するアシドーシスやVTの出現は説明がつきません。第8話の川田慎一君の時もそうでしたが、彼は何か納得がいかなかったときは患者さんの傍から離れません。この姿勢は若い先生方にも是非、真似をして欲しいと思います。ついに灰谷は山田さんの電撃傷に気がつきました。電撃傷は電気抵抗の低い皮下組織、筋肉、血管、神経などに通電して生じます。皮膚所見が乏しくても(確かに擦過傷のようにも見えました)腹壁の筋肉が広範に壊死を起こしていることがあります。腸管損傷は稀なのですが、診断が遅れれば腹膜炎になってしまいますから見落としは許されません。何か一つの怪我や病気を診断して安心をしてはいけません。複数の疾患が重なり合っていることもしばしば経験します。これが救急医療の難しさですが、面白さでもあるのです。この症例を救命できた灰谷は、自分で思っている以上に救急医に向いているようです。

蒔田中央駅地下1階のコンコースにいた白石は、DMAT(災害派遣医療チーム)や近隣から駆けつけた医療関係者達と救助された人達への医療対応の指揮を執っていました。こういった災害現場では「消防」や「警察」が独自に現場指揮本部を設けます(もっと大きな災害であれば「自衛隊」も加わります)。一番の欠点は、これらに「医療」を含めた“統合的指揮本部”やその“長”が存在しないことです。被害に遭った人達には真っ先に医療が提供されなくてはなりませんから、このような場面では医師がもっと積極的に関与すべきだと思います。白石は今回の事故現場では具体的な医療行為は行いませんでしたが、彼女は「医療提供の長」としての役回りを務めていたわけです。

最終話の「医療シーンのこだわり」を、今日は特別に2つ紹介したいと思います(写真)。
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一つはトンネルの崩落事故現場のセットです。写真は緋山の現場で、右側の奥は藤川がいた現場の方向です。実際のトンネルの中に崩れ落ちたコンクリートや瓦礫を積み上げて作成されています。もう一つは藤川の左上腕骨の徒手整復をする際に鎮痛薬として藍沢が使った「フェンタネスト」という麻薬です。
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ほとんど画面には映ってこなかったかも知れませんが、美術スタッフさんはそのアンプルまで正確に作ってくれました。中身はただの水ですが、これを持ち歩いていると「麻薬」を所持していると勘違いされてしまいそうです。大がかりなセットから細かい小道具まで、美術スタッフの底力を感じた4ヶ月間でした。

ついに最終話の医療シーン解説もこれで終了です。インターネット上では、医療シーンについて多くの批判もあるようです。その一つ一つに反論をするのは不毛ですから何も言いません。ドラマはあくまでもエンターテイメントであって現実のコピーを作っているわけではありません。そのエンターテイメントにリアリティーを与えるのがわれわれの役目と心得て、「コード・ブルー」の医療監修を行ってきました。医療シーンでは演出上の制約以外、説明のつかない部分は一切無いと言い切れます。この解説が「コード・ブルー」を楽しんで観ていただける一助になったのであれば、とても嬉しく思います。3ヶ月間、お付き合いいただきありがとうございました!


~急告~
「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」の映画化が決定しました!
それに合わせて、「医療シーン解説映画版」の公開も決定しました!
お楽しみに!


いかがでしたでしょうか。前回のブログでも述べましたが、管理者の予想を大幅に上回る反響に当初は戸惑いましたが、そんな皆様のおかげで何とかここまで続けてくることができました。叱咤激励のお言葉を頂きました方々、本当に3か月間当ブログをご覧頂きまして誠に有難うございました。今後は、北総救命の日常を含めてドクターヘリのことや救急医療のことなどを折を見てアップしていきますので、引き続き応援のほど何卒宜しくお願い致します。
………と思ったら、なんと2018年に映画化決定!!!
またその際は、医療シーン解説ブログを書きたいと思っています。
そんなわけですので、皆様また少なくともまた来年にはお会いしましょう☆
2017-09-18 01:32 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

早いもので7月17日(月)より放送が開始となった『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』が本日9月18日で最終話(第10話)を迎えます。
毎週、各話毎に医療シーンの解説ブログをお届けして参りましたが、正直に打ち明けますと日々の診療と学会準備に追われる中のブログ更新はそれなりに大変でした(笑)
ただ、それ以上に各方面から激励のお言葉であったり、楽しみにされているというような嬉しいお言葉を頂けましたことに管理者として喜びを感じることができ、皆様のおかげで何とかここまで続けられることができました。

改めて今回の『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』は皆様にとってどのような作品となりましたでしょうか?もちろんドラマというエンターテインメントである以上様々なご意見があって然るべきと思いますが、少なくとも救急医の端くれとしましては多くの方に「ドクターヘリ」のこと、「救急医療」のことを知って頂けたという意味で非常に意義深いものであったと思っています。

私自身『コード・ブルー』は1st seasonから見続けているドラマでして、こうやってこのブログを書かせて頂いていること自体が不思議であるのと同時に、とても光栄なことだなと感じております。ともすると神聖化されてしまいがちな【医療従事者の人間味溢れる描写】や、時に忘れられてしまう【限りある命との真摯な対峙】が『コード・ブルー』の魅力であり、今回の3rd seasonでもその魅力が如何なく発揮されていたように思います。そして個人的には実際の救急現場で働くようになって初めて今回の3rd seasonが開始となり、想像していた以上に医療シーンがリアルなものであること、医療従事者の苦悩や葛藤が忠実に描かれていることなどに大変驚きました。それはもちろん手前味噌ではありますが北総救命の医療監修があることに加えて、綿密な取材や打ち合わせに基づいた制作スタッフのそれこそ血のにじむような努力の賜物であると実感しております。この場をお借りしまして、北総救命を代表し『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の制作スタッフの方々へ御礼を申し上げます。本当に3か月間お疲れ様でした。

さて、改めましていよいよ本日21時より『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の最終話が30分拡大版で放送されます。サブタイトルはズバリ「暗闇の先にあるもの」です。二次崩落に被災した藍沢Dr.や藤川Dr.の運命は?絶望的な状況に希望の光は差し込むのか?そして白石先生が短冊に込めた願いは叶うのか??
台風の影響もあり、大変なご苦労をされておられる方も多いと思いますが、お時間の許す方は是非ともリアルタイムでその結末をご覧下さい。
2017-09-11 23:49 | カテゴリ:ブログ
皆様、こんばんは。管理者Oです。

『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』第9話、15分拡大版はお楽しみいただけましたでしょうか。
今回のテーマは「運命の1時間」でした。それぞれの登場人物に色んなことが巻き起こりましたが、最後のシーンがあまりに衝撃的すぎて、皆さんそれ以外の内容を忘れてしまってませんか?(笑)

さて毎回恒例となっております管理者の呟きですが、今回はズバリ『ジレンマ』です。
作中で優輔君に巡ってきた奇跡とも言える心臓移植のチャンス。当然父親である橘先生はきっと優輔君の即答を期待していたはずです。ところが、実際に返ってきた返答は「移植は受けない」でした。そしてその理由は「誰かの死を期待している大好きなパパをこれ以上見たくない」と。父と息子、お互いがお互いを想うがゆえの切ない意思の交錯。もう涙なしには見れませんでした。。
少し内容は違いますが、救急医は誰でも(というよりどの職業の方でも)自身のスキルアップのために「経験」を望みます。しかし救急医の経験とは、仮に幸い救命できたり、うまく回復される患者さんであったとしてもその事象には必ず【誰かの不幸】が付きまとっています。望まれない状況でのみ活躍しうるという救急医は、もちろんその存在意義を十分に自認しながらもそんなジレンマを時に感じているのです。
改めてこのコード・ブルーというドラマに描かれる医療者のリアリティ(手技的なものはもちろん、心理面を含めた日常も)には、医療監修を行っている立場から見ても非常に感心させられるところが多いなと感じています。

では中身のない呟きはこれくらいにして、お待ちかねの医療シーン解説をお届け致します↓

 撮影も大詰めを迎えています。今回はまず、実際の医療現場とドラマの表現との乖離についての説明からです。「コード・ブルー」は医療の現場をリアルに描くことを信条に制作されています。それでもいろいろな場面で様々な撮影上の制約を受けます。一番よく指摘されるのが感染防御です。実際の初療室や病棟での診療では、その時々に応じてマスクやガウンを着用して患者さんに接します。でも、ドラマではいつもそうすることができません。何故なら、マスクと帽子で藍沢や白石達の顔が見えなくなるとドラマとしては“困る”からです。同じような理由でドクターヘリに搭乗するときも彼らはヘルメットをつけません。医療監修側と演出側が散々話し合った上での「リアリティーとエンターティメントの妥協点」だということを理解いただき、楽しんで欲しいと思います。「決して忘れているわけではない!」のです。
 さて、第9話は冒頭のシーンから「小ネタ」を取り出して解説したいと思います。3人の患者さんが立て続けに初療室に搬入されてきます。こういったことは珍しいことではなく、北総救命でもちょくちょくあります。こんな時はそこにいるスタッフが手分けして診療にあたりますが、大事なのは患者さんの状態に合わせたスタッフ配置です。3人の患者さんに6人のスタッフがいても、2人×3で配置するわけではありません。緊急度・重症度の高い患者さんには4人のスタッフが取りかかり、あとは1人ずつ、ということもありうるわけです。
 第1話の初めのシーンでも熱傷の患者さんがいました。今回は藍沢と名取が熱傷の症例を担当していました。映像には出ませんでしたが、この患者さんには胸部の「減張切開」が行われていました。この「減張切開」とはどんな処置なのでしょうか?皮膚の深部までやけどを負うと(Ⅲ度熱傷といいます)、血管内の水分が外に逃げて皮下に浮腫が生じます。これによって皮膚の内側の圧が急激に上昇します。でも、やけどで硬くなってしまった皮膚は伸展しませんから、この圧を逃がすことができないままになります。この状態が手や腕、下肢に起これば血管が圧迫されて血流が途絶してしまいます。胸部に起これば呼吸をしようとしても胸が拡がらなくなります。そこで、やけどした皮膚を電気メスなどで切開してこの圧を逃がすための処置をします。これが名取が言っていた「減張切開」です。

無題

 写真は、2nd seasonの最終回で出てきた熱傷の患者さんです(このメークもリアルにできていますが…)。例えば、線のように切開をすると皮膚の緊張が解除されて、呼吸運動がし易くなるのです。
 骨折に皮膚や皮下組織、腱や筋肉などの軟部組織損傷を伴っていると、その腕や足(患肢)を温存することが難しい場合があります。重度外傷患者の場合、患肢を温存するか切断するかの決定は、四肢軟部組織損傷自体の重症度と患者の全身状態の重症度に左右されます。判断基準の客観的指標として、軟部組織損傷の程度、患肢の虚血状態、ショックの程度、患者の年齢の4つの要素を得点化したMESS(mangled extremity severity score)がよく用いられます。最大値は11点で、一般的には8点以上なら切断と判断されます。切断をできるだけ避けるためには、ショックから早く離脱させること、患肢の血流を回復させること、軟部組織の感染を抑えること、など沢山の問題をクリアしなければなりません。緋山が運び込んだ患者さんに、藍沢と橘は「シャントを入れて血行再建」の治療方針を取りました。できるだけ早く患肢の血流を確保して切断するのを回避しようとしたのです。
さあ、ついに次回は最終回です。ラストシーンは大変なことになっていました。医療シーン解説も大変なことになりそうですが、皆さんお楽しみに!

いかがでしたでしょうか。
さて、大方の予想通り前代未聞の大惨事が起こりましたね!!そして次回はいよいよ最終話。30分拡大版です。
ホントにあっという間にここまで来ましたね。まだまだ見ていたいような気もしますが。。
バラバラになってしまいそうな翔北救命センターはどうなってしまうのか?そして瓦礫の下敷きになってしまった藍沢先生の運命は??最後までどうか皆様応援をよろしくお願い致します。
2017-09-08 21:35 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

暑さも和らぎ、めっきり秋らしい季節となってきました。体調など崩されておりませんでしょうか?もう早いところではインフルエンザが流行している地域もあるようですよ。

さて本日は『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第8話の内容について、特別に追加で医療シーン解説をお届け致します。

第8話のドラマ内で大きな問題となったのが、先日のブログでもお伝えしました「緋山先生の針刺し事故」でしたね。その際、緋山先生へ行われた隔離について少し解説致します。「西アフリカから帰国した原因不明の出血傾向を呈した患者」に刺した点滴針が誤って緋山先生に刺さってしまったという設定でした。アフリカ大陸には数年前大流行した【エボラ出血熱】をはじめ、日本には未だ上陸していない非常に致死率の高い感染症が存在します(感染症法:1類感染症)。今回はそんな重篤な感染症が《疑われる状況》であったため大騒動となったのです。さて、そこで問題となるのが「針刺し事故を起こした緋山先生への対応」です。致死率の非常に高い出血熱の原因は多くの場合ウイルス性感染で、その感染経路は体液(血液・唾液など)感染です。このため出血熱に罹患した患者は「隔離」され、診療に関わる医療スタッフも「厳密なプレコーション(感染予防策)」を行う必要があります。ただ、今回のケースは肝心の患者が感染症『疑い』でした。そのため本来であれば針刺し事故を起こした緋山先生は患者の感染症罹患の有無が判明するまで自宅待機となりますが、緋山先生は家が燃えてしまっていて自宅待機が困難であったため、空き病室での待機を余儀なくされてしまったのです。従いまして感染症の疑いが晴れるまでの間、一般の方との接触を避けるため「経過観察」をされていたことになります。そして事故の2日後に藍沢先生が全ての感染症の陰性を確認して安心する場面(ご覧になった方全員がにやけてしまったと思いますが)は、出血傾向を呈した「患者さん」の結果です。これで晴れて緋山先生は無罪放免となり、あの感動的な名取先生の涙が見られたわけです。

いかがでしたでしょうか?なかなか難しいテーマであったため今回は特別に追加で医療シーン解説を行わせて頂きました。

そしてなんと9話、最終話と拡大放送が決定したようですね!!素晴らしいことこの上なしですね。
本業そっちのけ(笑)…ではなく、本業とともに本ブログも適宜更新して参りますので今後とも応援のほどをよろしくお願い致します☆
2017-09-06 21:42 | カテゴリ:ブログ
皆さん、こんばんは。管理者Oです。

今夜はだいぶ更新が滞っていた大人気連載シリーズ『ドクターヘリのお仕事』第5弾をお届け致します。
今回のテーマはずばり【ドクターヘリ、エンジンスタート】です。なぜドクターヘリ出動時にわざわざ美人の…、失礼致しました。運行管理者が「ドクターヘリ、エンジンスタート」とマイクに向かってcallしているのでしょうか。

以下をご参照下さい↓

どうも!広報班のK城です。
今回はドクターヘリ出動時のCSからの合図「ドクターヘリエンジンスタート」についてです。

ドクターヘリスタッフはヘリ要請があるまで、外来業務、病棟業務等を行います。
コード・ブルーでも出演者の方々がフライトスーツを着て、病棟で診療を行っているシーンが見られますね。

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無題2

ヘリスタッフは、ドクターヘリ要請のホットラインが聞こえない場所で診療をしていることも多くあります。そのため、ヘリ要請があった場合、CSから無線で「ドクターヘリエンジンスタート」と連絡があります。

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普段無線はフライトスーツのポケットに収納し、無線でヘリ出動の連絡を受けると、ヘリスタッフは急いでドクターヘリに向かい、出動していきます。
診療中に突然ドクターヘリ要請が入るため、もちろん時間がかかる処置等にヘリスタッフは入りませんが、診療する際は、ドクターヘリ出動のため診療や説明が中断する可能性が有ることを患者さんに説明する様心がけています。

以上です。コード・ブルーでも「ドクターヘリ、エンジンスタート」の合図がかかると気持ちが高ぶるのは私たちだけではないはずですよね!さて、ドラマは残り2話となりましたが、あと何回「ドクターヘリ、エンジンスタート」を聞くことができるでしょうか。その辺りも楽しみにご覧下さいね☆

2017-09-04 23:10 | カテゴリ:ブログ
皆さま、こんばんは。管理者Oです。

サッカー日本代表、W杯出場おめでとう!!
あれ??遅い?失礼しました。。

そうでした、皆様『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~ THE THIRD SEASON』の第8話はお楽しみ頂けましたでしょうか
テーマは『孤独な夜』でした。緋山先生、本当に良かったですね☆実は「針刺し事故」というのは実際の医療現場ではある一定の確率で起こってしまう事象で、もちろんその予防のため様々な対策が取られているのですが、なかなかゼロにはできない悩ましい事故なのです。今回は「エボラ出血熱」疑いでしたが、多くはウイルス性肝炎(B型、C型)やHIVなどが問題になります。今回の「針刺し事故」の詳細は医療シーン解説をご参照下さい。
さて、今回個人的には【フェロー達の成長】と【藍沢先生の指導理念】が非常に印象的でした。コード・ブルーをご覧になっている方々は「開胸大動脈遮断」や「ダメージコントロール手術」など派手な手術シーンが魅力的と感じられていると思います(実際そうなのですが笑)が、本当に注目すべきは「どこでそれを決断し、いかにしてチームでそれを遂行するか」なのです。第8話では腹腔内出血で急変した男の子をフェロー達で自ら治療方針を提案し、藍沢先生がその覚悟を受け入れ、Goサインを出して見事に救命に繋げていましたね。ハリルホジッチ監督のサッカー理念をチーム全体で共有し、フィールドプレーヤー各々が大事な場面で自らのプレーを決断し、見事オーストラリアを撃破した日本代表と通ずるものがありました。

あれ?いつの間にはサッカー談義になっておりました。。本当に度々失礼致しました。サッカー好きの管理者としてはこのネタに触れないわけにはいかず、無理やり話を繋げてしまいました(笑)
さて、気を取り直して皆様お待ちかねの医療シーン解説です↓

何故か緋山はいつも辛い目に遭います。個人的には一番好きなキャラなんですが…。
緋山の針刺しは実際にも起こりえることです。放送では画面の切り替わりが早かったのでわかりにくかったかと思いますが、名取が静脈路確保のために留置針を刺そうとしたとき、患者さんは痛み刺激でそれを撥ね除けてしまいました。名取は針を患者さんから遠ざけようとしたのですが、聴診中の緋山の手にあたってしまったのです。では、これを回避できた可能性を探ってみましょう。二人とも患者さんの右側にいて距離が近かったですね。診察は患者さんの右側で行うのが普通なので、名取が緋山の反対側に位置すればよかったかも知れません。名取が針を刺す前に「痛いですよー」と声をかけなかったのも一因かも知れません。ただ、患者さんの意識レベルは呼びかけてかろうじて反応する程度だったので、声かけに予防効果があったかは分かりません。雪村が患者さんの腕を保持していれば避けられたかも知れません。誰が悪かったというわけではありませんが、救急の現場ではこんな細かい部分への配慮や予見をしながら診療を進める必要があるのです。
第8話の医療シーンのメインは、フェロー達が川田慎一君(何故か灰谷にそっくりなのですが…)の脾損傷による仮性動脈瘤の破裂に対する治療場面です。仮性動脈瘤というのは、動脈壁は破壊されているのですが、出血が周囲の結合組織によって抑えられて瘤状になった状態を言います。病院に来た時点で診断できることもありますが、時間の経過とともに瘤が大きくなる場合もあります。慎一君は後者のケースであったと思われます。入院中に瘤が見つかればいいのですが、時には退院してから瘤が破裂することもあります。この場合には治療開始までに時間がかかりますから危険です。灰谷が慎一君に「何か」を感じていなかったなら、彼は自宅でショック状態に陥っていたことでしょう。治療は一般的に血管造影といって、動脈を造影剤で映しながらこの瘤にコイルなどを詰めて止血する方法が取られます(写真はコイルで詰める前の脾動脈の仮性瘤。このケースでは2つ見られます)。
無題

 もう一つこのシーンでは「REBOA(レボア)」という言葉が出てきました。これは、resuscitative endovascular balloon occlusion of the aortaといって内腔でバルーンを膨らませて大動脈を遮断する方法です。“大動脈遮断”と言えば、「コード・ブルー」では外科的に開胸して行うシーンが定番です。慎一君に心停止が切迫していたとき、普段であれば開胸下大動脈遮断を行って心停止を回避するところですが、近年ではREBOAがトレンドです。この大動脈バルーンカテーテル↓
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は、最近では子供にも使用可能な細いタイプの製品もあって、横峯はこれを使うことを提案したというわけです。開胸下大動脈遮断もREBOAもそれぞれに長所短所がありますが、まだ外科手技になれていないフェロー達の選択は正しかったと思います。
さて、この間に藍沢と藤川は初療室で何をしていたのでしょうか?患者は腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm: AAA)の破裂でした。藍沢は開胸下大動脈遮断を行って心停止を回避した後、藤川とともに開腹術を始めます。2度目の灰谷からのコールのとき、二人はAAAの破裂部分の中枢側(心臓側)で大動脈にテーピングをしようとしているところでした。この位置で遮断をし直して胸部大動脈の遮断を解除できれば、あとは血管外科の先生に人工血管置換術をやってもらおうという考えだったのです。この状態では流石に手を離せませんね。
 さて、灰谷の怪我の理由が何であったかは、本人以外は誰も知りません。ただ、彼は少しずつ自身を取り戻しつつありそうです。藍沢はフェロー3人を、まるで黒田先生が自分たちに言っていたように褒めます。仏頂面な言い方まで真似してるみたいでした。さすがに「よくやったぁ~」とまでは言いませんでした(残念!)。

 今回もかなり専門的な内容だったと思いますが、いかがでしたでしょうか?藍沢先生の『よくやった』は反則ですよね。男でも間違って惚れちゃいそうです(笑)私もああやって後輩が思わずにやけてしまうような指導ができるよう日々精進したいと思います。
さて、いよいよ物語はクライマックスに向かいます。改めて絆を深めた指導者達、新たに結束を得たフェロー達に待ち受ける最大の試練とは。。ラストまでお見逃しなく!!